ハスク夏場エンジン不調の謎 2003年11月10日

福井の自然樂校のあとの打ち上げで栗田師匠が「なぜかハスクは夏場ダレますね」。
国明師匠は「キャブの調整でうまいこといきますよ」と。

その理由を以前ハスクバーナーの社員さんから聞いたことがあります。

ハスクバーナーはご存じのようにスウェーデンにあります。
夏でも平均気温17度位の国
そんなところで開発された為、寒冷地仕様になっているとのこと。

細かいメカニズムは以下QアンドAにまとめました。

Q1なぜ夏場ダレるのか?

A1原因はキャブレターの固定方法にあります。
  254xp等2シリーズまではシリンダーから直接キャブの固定ボルトが出ています。
  
  エンジンを回し続けるとシリンダーは高温になります。
  固定ボルトから熱が伝わってキャブも高温になります。
  キャブレター内部のガソリンが熱により泡立ちます。
  その泡が燃料の正常な流れをさまたげ、エンジン不調となります。
  (ベーパーロック現象といいます)

  現在の357xp等3シリーズは上記問題点が解決されてるようです。
  キャブに熱が伝わらないような構造になってるとの事。
  もし3シリーズお持ちの方で夏場ダレる等の現象ありましたら教えてください。
  
  不思議にスチールの製品、たとえば031AVのように20年近く前の機種でもキャブに熱が伝わらないよう
  ジョイント部がゴムでできてます。
  スーチルはドイツですが、ドイツも夏の平均気温は20度前後とスウェーデンとあまり変わらないですね。
  開発思想が違ったのか。
  
Q2解決方法は?
  
A2運転後も停止させずアイドリングさせる。 
  アイドリングはエンジンの熱を除去させる効果があります。
   (27時間TVの際、大ちゃんが上記を行っていて、当時は何故エンジン止めないのか不思議でした。)
 
  またエンジン停止後、再始動できない状態になった場合は一度チョークを引いて掛けます。
  ガソリンを大量に供給させることによりキャブレターとエンジンが冷やされされます。
  一度お試しください。
 
  ただし、チョークを引いたまま何度もエンジン掛けるとカブッてしまいますのでご注意を!

  国明師匠のおっしゃってたキャブの調整は知らないです。
  たぶんLとHを濃くすることによりガソリン供給による冷却効果を上げるかな?
  夏場の焼き付きにも効果ありそう。
  一度試してみよう。

お願い
文中で間違った内容等あればメールで教えてください。
tukahara@craftech.jp
訂正し、正確な情報としていきたいのでよろしくお願いします。

メール頂きました!2003年11月21日

自然暮らしの会の先輩でチーフメカニック?の大ちゃんから以下の情報いただきました。
僕の疑問だったところ解説して頂いてます。
大ちゃんありがとうございます!

今後、大ちゃんにチェンソーコンテンツでバックアップして頂けることになりました。
より充実した内容になると思いますので皆さんお楽しみに!


エンジンを止めない大です。強制空冷式エンジンの場合、エンジンが止まる=送風されない=エンジンが冷えない(熱がこもる)となるわけでして、アイドルさせておいた方がいいんですよ。
ましてや高負荷をかけて運転した後には、エンジンシリンダーはもちろん、クランク側も相当な熱をもっています。

この状態でエンジンを止めてしまうと、エンジンが動いていればガソリンに混ざって供給されてくるオイルも、当然供給されなくなるので、エンジン内部において”油膜がきれた状態”になりやすいんです。
この状態が良いわけはありません。

激しい作業をさせた後にはクールダウン(低負荷運転)もセットで行いましょう。

さて、国明師匠がキャブの調整で・・・、とおっしゃったのは、液体が気化するときには熱を奪う(気化熱)ので、通常よりもちょっとリッチ(濃い)なキャブセッティングにすることで、多めのガソリンがシリンダ内に供給され、内壁にふれて気化する際にエンジン本体の熱を奪うということだろうと思います。
濃い混合気が燃焼する際には、酸素欠乏状態になるので燃焼温度もあがりません。

しかし、多量のすすを発生する、排気ガス中におおくの未燃焼炭化水素が残る等、いろいろな問題もあります。
あまり濃い状態での運転はお勧めできません(吹けも悪いし・・・)。

”ほんの少しだけリッチにする”のがミソです。
H側、L側のスクリュー調整ですが、H側のみ1/8回転もいじれば充分だと思います(これは機体個々の差も大きいですが・・・)。

チェンソープロショップ流庵

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