チェンソー修理(キャブレター分解清掃編)2004年1月27日
不具合・症状:エンジンが掛からない。アイドリングが安定しない等。
原因 :キャブレター内部が汚れにより詰まっている。ダイアフラムが硬化している。
修理方法 :キャブレター分解清掃。ダイアフラム交換。
備考 :清掃後のローとハイの燃料濃度調整は難しいので調子の良い時にはさわらないように。
分解清掃自体は難しい事はありません。
関連情報 :このコンテンツ作成にあたってはパイオニアさんから多くのアドバイス頂きました。 ありがとうございました。
パイオニアさんのHP http://www9.wind.ne.jp/ken3/index.html
注意 :このぺージを参考にしてチェンソーに不具合が起こっても当方は一切責任負いません。
キャブレターの構造 エアクリーナーはずすと見えてくるのがキャブレターです。 チェンソーで使われるダイアフラム式キャブレターの”ダイアフラム”とは空気とガソリンを隔てるゴムのこと。 空気の動きでダイアフラムが上下してタンクからガソリン取り込んだりキャブ内部を移動させたりします。 スロットルの握り具合と連動してバルブが開閉し吹き出すガソリンの量が変わり空気と混ざって混合気となり回転数が上下する。 |
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上の写真ポンプダイアフラムでガソリンタンクから燃料が入ってきます。 反対側のメタリングダイアフラムでインレットニードルバルブを開閉します。 |
原因を探る エンジンが掛からない場合、キャブレターのところへ混合ガソリンをスポイトのようなもので数的垂らして始動してみてください。 それを繰り返してみて連続してエンジンが動かないようなら シリンダー内に問題(焼き付き、点火不良等)があると思います。 エンジンが掛かかる場合はまず燃料タンク内フィルターをチェックする。表面に細かいゴミが付着して詰まってなければキャブレターに問題があると見て良いと思います。 キャブレターの不調原因 ①ダイアフラムの硬化(長年使わなかった時に起こる) ダイアフラムが硬化すると空気の動きで上下しなくなるので交換しなければならない。 ②キャブ内部の汚れによる詰まり。 キャブ内部にはガソリンの通る微細な穴がいくつかあります。 その穴が汚れによって詰まると動脈硬化を起こして混合気がシリンダーへ行かなくなります。 キャブレターを分解清掃しなければなりません。 長年使用していて回転数が異常に上がるような場合、Hの通路が汚れで小さくなっていると考えられます。 焼き付いてしまうので分解清掃またはHネジを少し開く(反時計回り)必要があります。 |
修理方法 ①はダイアフラム交換で済むので省略して②の分解清掃の方法を紹介します。 キャブレターのはずし方 ハスクなどは割と簡単にはずせますがスチールはちょっとやっかいです。 スチール026の例 まずキャブを固定しているナットを取ります。
右手グリップの黒いカバーを外します。
黒いカバーはグリップエンド部の裏側にネジで固定してあります。
(チェンソーを裏返すと見えます) 次に燃料ホースを外し、スロットルロッドを外します。
後は手前に引っ張ってくるだけですが、少し硬いと思いますので-ドライバー等で 少しずつこじながら引っ張っても良いです。
インパルスホース(クランクケースにつながってる管)は自然に外れます。
組み上げる時にはアース線とスイッチ線をキャブの裏側に挟み込んでナットを締めないように 注意してください。
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分解する前の注意点 元の状態を覚えておく。 分解しても元にもどせなければダメなのでデジカメで記録するなどしておきます。 ロー(Lネジ)とハイ(Hネジ)の調整ネジが一番閉めたところから何回転戻しかも記録しておく。 清掃後はLネジHネジの調整位置変わりますが参考になります。 写真はガソリンフィルターに木くずのカスが詰まってる状態です。 外側から見える異物は全て取り除いてやります。 |
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分解清掃 ①ネジというネジをすべてはずして完全にバラします。 ②ムースタイプのキャブレタークリーナー(泡状のタイプでバイク用品店などで売ってます)を全ての穴に吹き付けて数分置きます。 ③ガソリンで洗い流します。 (僕はインスタントコーヒーの瓶にガソリン入れてキャブをドブ漬けしジャブジャブします) ④コンプレッサー(なければエアダスターか下の写真のカメラ掃除用器具)で吹き飛ばしてください。 ガソリンの通る微細な穴を重点的に吹いて詰まりを取ってください。 LとHネジ外した穴からと、ガソリンフィルターからインレットの穴へは必ず! これで治るはずなのですが、それでもダメな場合は何処かで燃料の流れが阻害されていますので、それを根気よく探す必要があります。 だいちゃんからのワンポイントアドバイス 本体に軸1本にチョウバンのような形で腕が出ていて、この下にばねがある部分(たいていネジ1本で固定されています)があるでしょ。ここのネジを抜いて、腕の下のばね、円柱状(頭は円錐形)のパーツ(インレットニードル)を取り出しで掃除、円柱状のパーツが入っていた穴の最下部の小さな穴を掃気清掃するんです。ここはキャブ内にガソリンを取り込むにあたり非常に重要な通路です。この一式のパーツがスムーズに動くことも必須になります。むやみにネジを外すとばねが飛んでいってしまうので慎重に作業してください。 |
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デジタルタコメータ(パルスでカウントするらしい) |
燃料濃度の調整 Lネジ(シリンダー側)はスロー時と高速になるまでの燃料制御です。 Hネジ(リアグリップ側)側は高速時の燃料制御です。 どちらも閉める(時計方向に)と燃料供給量が減り混合気は薄くなります。 開く(反時計方向へ)と混合気は濃くなります。 Lネジの調整 まずアイドリング(Tネジ)を少し締める。 締めることによってはエンジンが掛かりやすくなるのと最高回転の位置に近づくにつれて刃が回り出すので最高回転の位置が見つけやすくなります。
Lネジ締め切ってから1回転戻します。 エンジン掛ける。 そこから少しづつ開いていって(反時計方向に)最高回転になるところから1/8~1/4開いて止めます。 開いていって回転数落ちていくようなら逆に閉めていってください。(ハスクの場合に多い) 要は最高回転の位置を探る訳です。 初めて調整される方は開けたり閉めたりしながら回転数がどう変わっていくか観察すると要領が解ってきます。 わからなくなったら、また1回転戻しのとこからスタートしてください。 1回転半あけたところから閉めていくやり方もあります。(ハスクはこの方が良いかも) 最高回転の位置は機種ごとの個体差が大きく、意外に閉め込んだ所だったり開いた所だったりするので広範囲を探ってください。 私の経験ではハスクは閉め気味、スチールは開き気味でした。 パイオニアさんからのアドバイス 最高回転から1/4戻す(濃くする)というのは良く聞く調整の基本的な考え方と思います。 一般的にこのことを当てはめて良いと思います。 ただチェンソーの調整は一筋縄ではいきません。 私は最高回転の所で調整しています。 というのはそこから1/4も戻すと濃くなり過ぎてしまって、スロー時に停止してしまう症状が 出ることがよくあるからです。 つまり燃料が高速から低速に移る時に出すぎるという症状です。 故障では無いのですが、キャブの特性としてどのダイヤフラム式キャブも多かれ少なかれ持っています。 低速で割と調子の良い状態が最高回転のところと思っています。 あるいは少しだけ濃くする位置でしょうか。 感じとして1/8くらいかと思います。 そのくらいがスローでけっこう安定している状態になります。 ちなみに気温、湿度、気圧等の変化や混合比の違い、個別機体の個性、劣化等で調整後もかなり状態が違ってきますが・ L調整は最高回転と言いましたが、音でスローが安定した状態と言い換えた方が一番良いみたいです。 それは長年の感で調整していますので、説明がうまく出来ません。 アイドリング(Tネジ)の調整 アイドリング(Tネジ)をソーチェン回らなくなる所まで下げる。 Hネジの調整 Hネジは清掃前の状態にします。 回転数上がりすぎる場合は少し開いて(反時計方向) 回転数上がらないようなら少し閉めて(時計方向)調子を見ます。 調整は実際に木を試し切りしながら行ったほうがわかりやすいです。 Hネジの調整は本来タコメーターでメーカー指定回転数に調整します。 閉める(混合気薄くする)ほど回転数はあがっていきますが、回転数上げすぎると焼き付きますので注意! |