2004年4月6日 -カービング研究vol3 材の割れについて近藤さん研究報告-
近藤さんより材の割れについての研究報告を頂きましたので公開します。
近藤さんありがとうございました。
参考写真は城所さんの作品を使用させて頂いてます。
注)緑字は私の書き込みです。

<材の割れについて>

杉材は加工しやすく比較的簡単に手に入るのでカービングにはぴったりなのですが、木材は径が大きくなるに従い、割れが入るのが難点です。
これは径の外側と内側の含有水分の蒸発の差によるものですが(外側は早く水分が抜け内部は遅いため) 、せっかく作成したカービング作品の見所に割れが入ると悲しくなりますネ、普通は。

その回避方法を思いつくまま書きます。
 一般的に材の含水率(含有水分)が低くなる、秋後半から冬にかけて(12月〜1月)伐採します。
 2月後半からは春に備えて水分の吸収はすでに始まっているので外気温に惑わされてはいけません。
できれば伐採前数ヶ月間、伐採対象の木の頭頂部をカットしておくと水分の抜けが良いらしい。

(1)初めから目立たない所を割っておく
 ログハウス・ビルドでのグルーブ・カット(背割り)のように、作品の裏側に芯に向かってカット を入れる。
この方法は良いのですが時間経過と共にカット幅が広がります。
又、目立たない所といっても上下に一本まっすぐにカットが入るので少し寂しい思いをします。

(2)芯部分をくり抜く
 作品全体の形にもよりますが、制作が終了した段階で上下どちらかから芯部分をくり抜きます。
 凹凸の激しい作品には向きません。又、作品の余計な部分を芯を含んでカットするのも良い方法です。
 城所さんに尼崎で教えてもらった方法です。

(3)芯部分を回避して作成する。
 大径の材を使う場合半割にした半分の材で作成する。芯を外す。

(4)材を煮る
 小さい材なら、水分含有率を均等にするために逆に煮る方法があるそうです。
 熱処理(木材を加熱して材温を上げる)ことによって材の収縮や応力の発生を抑制できるそうです。
 これは未だ試したことがありません。小物の作成には良さそうです。

(5)割れの出来ない材を使う
 当たり前のことですが技術大国の日本では、強制蒸煮・人工乾燥装置・材への注入材等によって
 割れが来ない材があるそうです。使ったことはありません。
 人工乾燥機はCRAFTECHのLINKページでおなじみのBailey'sで売ってます。$4,000程です。

近藤 博司

私見ですが完全に乾燥させた割れのない材でも、材が置かれる環境(湿度)の変化で割れが発生する可能性は残ります。
木は呼吸するものなのだから動く事は当然と受け入れる事も必要ではないかと考えます。
でもせっかく作った熊の顔が割れてきたときは、やっぱ悲しかった。。。ですね(苦笑

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