2008年8月26日 -緊急提言 チェンソーの危険性-

Bあやさんのブログでデニス・ビーチ氏がチェンソーのキックバックで怪我をされたのを知りました。
(キックバックとはバーの先端上部90度位の部分を切断木材に当てた際、作業者側にチェーンソーが物凄い勢いで戻る現象である。)

目を背けたくなりますが、チェンソーで切ると傷口はぐちゃぐちゃになり治りも遅く、ひどい場合は後遺症(ひきつり)もあります。

デニス・ビーチ氏はアメリカでトップクラスのカーバーでカービングだけで生計をたててる本物のプロです。(プロと呼ばれるカーバーでも実際に長年生計をたてられているカーバーは少ない)
そんな神様のような人が怪我をしたということでたいへん驚きました。

結局、チェンソー作業にいくら精通していてもキックバックを予測し怪我を防ぐことはできないのかもしれません。
(特にカービングのように通常の単純なカットではなく複雑にカットしていく作業では)

もちろん、チェンソーを使うときには常に気を引き締めることは重要ですが、気をつけていても交通事故はおきます。
簡単で確実な対策としては

・カービングバーを使用

することです。
カービングバーを使うだけでキックバックを簡単に確実に防ぐことができます。
仕上げ用に短いカービングバーは皆さん使用されていると思いますが、荒切り用にも16インチを使われることをお薦めします。
SAMURAI16インチカービングバーは安全なカービングのためにも開発されました。

2008年9月2日追記
またチェンソーによる事故の情報を入手しました。

伐採作業中に死亡 /佐賀
29日午前10時40分ごろ、武雄市若木町川古の県道沿いの山林で、近くの土木会社員、松尾義光さん(60)がチェーンソーで首を切り、出血性ショックで死亡した。松尾さんは同僚2人と斜面で雑木林の伐採作業をしており、誤って首を切ったと見られる。(武雄署調べ)
毎日新聞 2008年8月30日 地方版

【武雄署】
8月29日、武雄市の林道で、伐採作業中の男性(60)がチェンソーで右頸部を切り、搬送先病院で死亡する事案が発生,

グーグルキャッシュより
けさ武雄市の山林で木の伐採作業をしていた60歳の土木作業員がチェーンソーで自分の首を切り死亡しました。きょう午前10時40分ごろ武雄市若木町(わかぎちょう)川古(かわご)の山林で「同僚が伐採中にチェーンソーで首を切った」と一緒に作業をし ...

上記情報からキックバックによる事故と推察されます。
WEBで調べたところキックバックにより首や腕を切って死亡する事故例は他にもありました。

事例1 04/02/07 21:52
7日午後1時40分ごろ、宮崎県三股町長田の山林で、
木炭の材料に使うカシなどの枝を切っていた近くに住む農業日高柳幸さん(76)が
誤ってチェーンソーの刃を自分の首に接触させ死亡した。

都城署の調べでは、作業中、反動で跳ね返った刃が日高さんの首に当たったとみられる。
日高さんは長男(48)と2人で作業していた。
事故当時、息子は離れたところにいたという。
事例2 発生日 H15.3.31(12:00) 林業 67歳男(死) 切れ・こすれ
(チェーンソー) 勾配約20度の箇所で集材した杉をチェーンソーを用いて枝払いを行っていたところ、チェーンソーの刃が頚部に接触した。
事例3
倒木切断中にチェーンソー操作誤る? 男性死亡 和歌山・串本
2008.5.2 02:24
 1日午前11時ごろ、和歌山県串本町田原の土手で、近くの漁業、矢間正伸さん(77)が左腕から血を流して倒れているのを妻(73)が見つけた。矢間さんは出血多量で死亡した。

 串本署の調べでは、矢間さんは、この日午前10時ごろからチェーンソーで倒木を切る作業をしていたといい、同署では矢間さんが操作を誤って腕を傷つけたのではないかとみている。

でき杉さんのブログでもチェンソーの危険性について書いておられます。
林業では枝払いや、重なった幹の切断、そしてチェーンソーでのボサ刈り(杉、檜以外のいらない木や灌木を切る作業)がキックバックおこりやすいようです。
ご参考ください。

他にもチェンソー事故等に関する情報お持ちのかたはこちらまでメールください。
安全に係わる情報を共有しましょう!

2008年9月18日追記
美作國チェンソーカービングクラブ 会員ブログへの会長さんの書き込み

カービングの世界でもノーマルバーを使って信じられないような使い方をしている光景を時々目にします。
思わず、あっ、と叫んで眼をそむけてしまうような使い方です。
キックバックの恐さを知らない使い方。
プロフェッショナルである私の友人のきこりもキックバックで脳天をわりました。
たまたま、プライベートでヘルメットを被っていなかったのです。
カービングから入った人は出来るだけカービングバーを使用してチェンソーアートを楽しんでください。
今は16インチのバーも出ているじゃないですか。とにかく何事も安全を大事にして下さい。あまり、説得力がないかもしれませんが。
私たちチームの合い言葉をご紹介しましょう。
じゃ、ご安全に。

2009年6月4日追記

でき杉さんのブログで今年の東栄大会での事故のことについて議論されています。
こちら

上記をうけて栗田師匠も東栄の掲示板に書き込みをされました。
大会出場時の注意点として読んでいただければ幸いです。

罪なきチェンソーのために 投稿者:くりた 投稿日:2009年 6月 4日(木)21時12分37秒
事故報告拝見いたしました。
大会運営側の準備態勢や事故対応は万全だったと思います。
私も今回の件で運営側にたった時の事を再認識いたしました。

2年続けて怪我が発生したことは不運なことですが、どこでも、いつでも起こりうる怪我だと思われます。
怪我を防ぐためにいろいろな規制が考えられますが、一番重要なのは自己注意力でしょう。かといって注意をすれば絶対事故が起こらないといいきれるものではありません。
不運にして発生した事故事例を知ることはカーバーの怪我回避にとても役立つことだと思います。

私は75ccクラスでブロックカットを飛ばし自分の急所に直撃した
痛い記憶があります。おととしのチェットウィンド大会の時でした。
同じ機種でも刃の形状、デプスの落とし具合で引っ掛かりが変わるので
借りた機種の時などは注意すべきですね。
キックバックは何度も危険を感じたことがあります。
競技中の時間帯としては大排気量機で前々半ラフカットからブロックカットに移るころは危険帯だと思います。競技終了間際も疲れとあせり、または気の緩みが出るので要注意だと思っています。
私など歩いていてもつまずいて怪我をする始末なのによく今までチェンソーで怪我をしなかったなあと思います。
それは長年の体験から危険と隣り合わせの「真剣勝負」だと感じているからだと思います。
チェンソーワークの緊張感は事前察知、予測力を養わせてくれました。
危険度はありますがそれを上回るものがあると思います。
カービングを終えた時は誰しも充実感を味わえているのではないでしょうか。

チェンソーが素晴らしい道具であって、皆から愛され続けるために私は改めて事故を起こさぬように注意をいたします。


カービングバーを使っていてもキックバック(プッシュバック)現象など予測のつかない動きははおこります。安全に対する意識は常にもちつづけましょう!

チェンソープロショップ流庵